ロルフィング セッション体験記(5)

ロルフィングのセッション5は、お腹のあたりの筋肉にワークをすると言う。ウワサによるとウエストが細くなるらしい。かなり期待が膨らむ。果してロルフィングは、私のウエストをメタボの危機から救ってくれるのだろうか!?

2009年11月11日

ロルフィング セッション5

《腹部・胸部のスペースを拡げる。内臓空間の解放。》

ロルフィングのセッション5は、お腹のあたりの筋肉にワークをすると言う。ウワサによるとウエストが細くなるらしい。かなり期待が膨らむ。ウワサの真偽を確かめるため、家を出る前にウエストを計ってみる。だが、この時点で軽いショックを受けた。

最近、ズボンのウエストがきついなぁとは思っていたけど、ここまでお腹が出てきていたとは・・・。真剣にダイエットを考えないと、本当にマズい。それとも今日のロルフィングがこの危機を救ってくれるのだろうか?

朝、家を出たときには晴れていたのに、途中で雨が降り始めた。どうもロルフィングを受けに行く日は、天気が悪いようだ。その上、電車に乗っている間に些細な出来事が重なり憂鬱になってくる。なんとか気を取り直して、なるべく明るい気持ちでセッションを受けようと思う。

施術者(ロルファー)の永井宏実さんは、今日も素敵な笑顔で迎えて下さった。お陰で少し気持ちが晴れる。これはロルフィングに限ったことではないけれど、やはり施術者さんの人柄って大切だと思う。

さて、今回もまず、身体の状態についての質問から始まった。脚の調子は良くて、歯車に油をさしてもらったようにスムーズに動くけれど、腰や肩が凝ると報告する。

ところで、ロルフィングは、10回のセッションに分かれていて、セッション毎にテーマが決まっている。肩が凝るから、肩を先にしてくださいと言うわけには行かないのである。順番がある。

肩が凝るからと言って、肩だけを治したとしても、症状は別の部分に現れてくる。本当の意味で肩凝りを治そうとするならば、身体全体の調和が必要だと言うのがロルフィングの考え方のようだ。そして身体全体を調和させるためには、正しい順序と言うものがある。もっともな話である。でも、やっぱりクライアントの本音としては、正直もどかしい。早く肩を楽にして欲しいと思う。

次に解剖図を見ながら、ワークを行う筋肉(大腰筋と腹直筋)について説明を受ける。大腰筋と言うのは、骨盤と太ももの骨を繋いでいる筋肉、腹直筋は、お腹の奥の方にある筋肉らしい。また、今日は上半身についてもワークを行うと言う説明もあった。大腰筋や腹直筋の変化に上半身をがついて来られるようにするためだ。

下着に着替えたあとは、いつものように写真を撮って、歩いたり膝を曲げたりする。こうしている間に永井さんは私の身体を観察して、セッションの進め方を決めて行くようだ。どうやらロルフィングのセッションと言うのは、クライアントひとりひとりの身体の状態に合わせてオーダーメイドで作り上げて行くようだ。

膝を曲げるときに、どちらに体重がかかっていると思いますか?と聞かれる。あれっ?いつかのセッションで左右のバランスは取れたはずなのにと思ったが、意識を集中してみると、膝を曲げるときに右の太ももに力がかかっているのがわかった。

ロルフィングの創始者であるアイダ・ロルフは、「ロルフィングは、治療ではなく身体の教育である」と言う意味のことを言っているらしい。永井さんが、「重心が右側に偏ってますよ」と指摘するのではなく、わざわざ「どちらに体重がかかっていると思いますか?」と質問して、クライアント自らの気付きを引出そうとするのも、きっとロルフィングが「教育」だからなのだろう。

施術ベッドに仰向けに寝る。足首の少し上あたりに手を置いてもらって、深呼吸をしてリラックスしていく。永井さんの手が温かくて、とても心地よい。

背中の下に手を当ててもらう。けれど、さっきの足首のときと違って、じっと手を当てているのではなく、微妙に指を動かしている。1回目のセッションでも同じようなタッチをしたのを思い出す。

永井さんの手に向けて呼吸を送るように言われる。呼吸をしているうちに、のどが乾いて咳が出そうになる。何度もつばを飲み込む。カバンの中にペットボトルが入っているので、お茶を飲んだ方がいいのかな?と思う。けれどセッションの流れを止めたくなかったので、我慢することにした。しばらくすると、喉の具合も普通に戻った。

どうも私の背中(肩甲骨周辺)は「鬼門」のようだ。初めてのロルフィングのセッションのときには、肩甲骨のワークで永井さんが咳こんだし、今日は私が咳きが出そうになる。

続いて、永井さんは私の腕を持って、いろいろな方向に動かし始めた。肩の関節がとても柔らかいと言われた。自分では身体は全部固いと思っていたので、肩の関節だけでも嬉しい。

もう一度深呼吸をする。どうやら、永井さんは私の深呼吸を見て、気になる部分を見つけたらしい。脇の下の少し下あたりの肋骨にワークを開始された。ぐっと押しながら擦るような伸ばすようなロルフィング独特のタッチだ。

しかし、そのポイントの正確さには、驚いた。ちょうど先日、胸から背中にかけての筋肉が凝り固まって、息を吸い込むと痛みを感じると言うことがあった。幸いそのときの痛みは、すぐに治まったのだが、永井さんは、そのポイントを正確に狙っている。さすがである。何も話していないのに、分かってしまうのだろうか?

けれども感心してばかりもいられない。息をすると痛くなるほど凝り固まっていた部分なので、やはり相当痛い。永井さんも心配して痛くないですか?と聞いてくれる。確かに痛いのだが、いかにも効いてる感じがする。痛くてもいいから、ここの凝りを何とかして欲しいと思う。

ところで、ロルフィングのクライアントは、のんびりしてばかりはいられない。肋骨にワークをしながら、腕を伸ばしてくださいと言われる。しかも、「心臓のあたりから腕が生えている」イメージらしい。ロルフィングでは、よくこういった不思議なことを言われる。最初のうちは戸惑ったが、徐々に馴れてきた。ちなみに心臓から腕が生えるイメージは、発生学的に意味があるらしい。なかなか奥が深いのである。

そして、腕(肘と手の平の間の部分)をほぐして行く。ぐっと圧をかけながら伸ばして行く。しかし、お腹の筋肉にワークをする準備として、腕にまでワークをするなんて不思議な感じだ。そのことを質問してみると、これもちゃんと発生学的な根拠があるんだそうだ。

つまり、人間が受精卵から胎児の形になる前に、すでにポンプ状の器官(心臓の元)ができる。そしてそこから手と脚の元になる部分が生えてくる。少し乱暴に言えば、心臓を中心に手と脚は繋がっているのである。先ほどの心臓から手が生えているイメージもそう言うところからくるのである。

また、ある人によれば、腕の二本の骨の間にある筋膜がトラウマを記憶しているのだと言う。普通、記憶と言えば、脳にあると思っていた。ハート(心)と言うと胸をイメージする。それなのに、腕の骨と骨の間にトラウマがある!?

かなり信じがたい話だけれど、先日読んだ「ボディワーク入門 ロルフィングに親しむ103のテクニック」小川隆之・斎藤瑞穂 著(朱鷺出版)にもマーク・カフェルの筋膜とは「記憶の器官」でもあると言う言葉が紹介されていた。(P41)

喜怒哀楽などの感情が起きると、身体はそれに応じた反応をする。たとえば、悲しいときは肩が落ちたり俯いたりする。そういう姿勢が繰り返されると、筋膜がその姿勢を記憶してしまう(その状態で固まる?)らしい。

これは、たしかにあり得る話かも知れない。だとすれば、腕にトラウマと言うのもあながちトンでもない話ではないのかも知れない。よく心と身体は一体だなんて言うけれども、こういう意味なのだろうか。「身体で覚える」なんて表現もあるけれど、本当に身体は記憶しているのかも知れない。

唐突に身長を聞かれた。不思議に思って、どうして身長が関係あるのか尋ねてみた。どうやら、身長が高い人は、無意識のうちに、自分を目立たせないように身体を小さく見せようとして、姿勢を悪くしてしまう場合があるらしい。

私も小学校のときはクラスの中で身長が高い方だったので、背の高さで目立ってしまうのが気恥ずかしく感じた時期があつた。心と身体の関係の深さを感じた。そう言えば、私は小学生のときから側彎症なのだが、姿勢の問題だけではなくて、身長を目立たなくしたいと言う心理的なものもあったのかも知れない。

さて、いよいよお待ちかねのお腹の筋肉へのアプローチである。仰向けに寝て、膝を曲げた状態で腰のでっぱった骨のあたりにグリグリ押される感じ。こそばいような痛いような妙な感じである。そして膝が天井から糸で引張られるイメージで膝をあげる。

さらに、左足をぐっと踏み込んだ力が、太ももの内側を通ってお腹の筋肉に伝わり、さらに右足に伝わって右膝がわずかに上に上がると言う動作も行う。難しいが、なんとかイメージは掴めたと思う。ロルフィングは、クライアントも楽じゃない。なかなか忙しいのである。左右同じようにワークを行う。

続いて太ももの上の方にもワークをする。ここも痛い。ちょうど大腰筋が太ももの骨に繋がっているあたりなのだろう。終わってみると、お腹へのワークは意外と短時間で、その準備のために上半身や腕にワークをする時間の方が長かったと思う。

起き上がって歩いてみるとまだ少しふらふらする。慣れない感じだ。壁に手を付いて身体を左右にゆらす。同じように揺らしているともりなのだが、左に揺らすときは腰のあたりでブロックしていると指摘される。

言われてみると確かに左側は力が入っている。お尻に手をそえてサポートしてもらいながら左にゆらす練習をする。感じがつかめた。膝を曲げると右側がかかとが浮いている感じがする。けれど、これが左右バランスが取れた状態なのだそうだ。今までのくせで違和感を感じているが、そのうち馴れるのかも知れない。

部屋の中を歩く。上に伸び上がるような感じで歩く。脚が楽に前に出ている気がする。足の指と指がひらいて地面をつかまえている感覚がある。

もう一度、施術ベッドに横になって首をほぐしてもらう。セッションの締めくくりは、いつものように永井さんが私の腰の下に手を当てるワークを行う。ちょうど仙骨のあたりにじっと手をあてる。正直なところ、このワークの意味は良く分からない。「気」でも送ってるのかな、なんて思ったりするのだが、まさかロルフィングで「気」はないだろうな。

最後にベッドから起き上がり、写真を撮って終了した。外は雨がかなり激しく降っている。永井さんからジャズフェスティバルのチラシをいただく。今日は浜大津のあちこちでジャズのライブが行われていて、無料で聴けるらしい。ちょうど駅前の広場でも演奏があったので、少し聴いてから電車に乗った。眠い。

電車を降りたあと家まで歩く。やはりセッションの直後は歩きやすい。この歩きやすさを定着させたいものだ。しばらく歩いているうちに腰も楽になってきた。ずっとこの状態が続けば良いのにと思う。

日が暮れて雨が降っている。なんだか気が重くなってきた。もしかすると本当に腕の骨と骨の間にトラウマが詰まっていたのだろうか?もしかすると本当に今日のロルフィングでトラウマが解放されて表に現れてきたのだろうか?まさかね、気のせいだよね、暗いし雨が降って寒いからだよね、と思いを打ち消す。

なんだか飲みにいきたい気分だ。友達を誘おうと思ってメールしてみるたが、返事がない。右足の人さし指と中指が痛くなってきた。あきらめて帰宅する。もしかしたらと密かに期待しながらウエストを計ってみたが、残念ながらまったく変化していなかった。仕方がない。真面目にダイエットを始めよう。

11月2日(ロルフィング セッション5の翌日)
昨日のセッションでワークした部分が筋肉痛になったみたいに痛い。しかし、私の場合、これはロルフィングを受けると毎回のように起きる現象なので、あせらずに身体が馴染むのを待つことにする。腰と背中はずいぶん楽になった。呼吸も楽だ。歩くのも調子が良い。

11月3日(ロルフィング セッション5の2日後)
前回のセッションでワークをした筋肉がまだ少し痛い。歩いてみると、歩幅が少し広くなったような気がする。

前回のセッションのときに永井さんから「お尻を少し振るような感じで」歩くようにとのアドバイスを受けたのを思い出す。今日は歩いているときに、お尻が左右に動いている感覚があった。ロルフィングの効果は、順調に現れているようだ。

ダイエットも始めた。夕食は、野菜とこんにゃくを中心にして、ご飯(お米)を抜きにした。意外と満腹感がある。

11月4日(ロルフィング セッション5の3日後)
とても調子良く歩けている。ただ、ふと気が付くと仕事中に身体が右側に傾いている。

11月5日(ロルフィング セッション5の4日後)
とても気持ちよく歩けている。歩幅が広くなり歩くのが早くなった。お尻もちゃんと左右に動いている。

それから今日は面白いことに気付いた。以前は、うがいをするときに首だけを後ろに倒していたのが、今日は腰から上半身全体を後ろに倒せるようになっていた。ロルフィングの効果が腰にも現れて来たのだろうか?

ダイエットのため、今日も夕食は、野菜中心でご飯(お米)はなしである。

11月6日(ロルフィング セッション5の5日後)
寒くなって来たので、ポケットに手を入れたまま歩いていたら、どうも違和感があって歩きにくい。試しにポケットから手を出してみると、腕が自然に振れて歩きやすい。

この前のセッションで永井さんから、「空へ向かって伸び上がるように歩いて!」というアドバイスを頂いた。「空に伸び上がる」ところまで出来ているかどうか別にして、歩き方はずいぶん良くなっていると思う。脚だけではなくて、上半身も使って身体全体で歩けるようになって来た。

ちょっとナルシストっぽいけど、ショーウインドウなどに映った自分の姿を見て、歩き方をチェックしてみる。今日は、なかなか良い感じである。身体全体を使って歩くと、なんとなく颯爽として、かっこよく見える気がする。

11月7日(ロルフィング セッション5の6日後)
ホットカーペットの上に仰向けに寝転がっていると、腰に違和感を感じた。腰が反って固まっている。腰が床から腰が浮きあがっているような感じだ。

11月8日(ロルフィング セッション5の7日後)
どうも腰がだるい。凝っている感じだ。右腕も凝っているので、自分で軽くマッサージをしてみる。テーブルの上に右腕を載せて、左の肘に自分の体重をかけながら、ゆっくり押してやる。この方法なら手が疲れない。

11月9日(ロルフィング セッション5の8日後)
朝起きると右腕が痛い。筋肉が凝っている感じだ。ところで、こうして身体のことを文章で表現しようとすると、自分の語彙の乏しさを思いしらされる。身体のある部分のことを言いたいときに、それを一言で言い表せないのだ。

たとえば、さっき「右腕が痛い」と書いた。しかし、痛い部分を正確に表現しようとすると言葉に詰まってしまう。右腕(手首と肘の間)の外側(表側?)で、肘の関節に近いあたりの少しふくらんで見える筋肉、とでも言えば良いのだろうか?

腰の筋肉も固く凝っている感じがする。顔を洗うのに前屈みになるのが辛い。歩いているときも脚の調子が良いだけに腰のコリがとても不快に感じられる。

それにロルフィングを受ける前は、腰に別段不調を感じていなかったので、釈然としない。膝や呼吸は、あっと言う間に効果が現れたのに、腰は一体いつになったら楽になるのだろう?

右腕の痛みは、夜には治ったけれど、腰の具合は相変わらずで改善しない。ダイエットのため、今日も夕食は軽めで済ませた。

11月10日(ロルフィング セッション5の9日後)
歩いてみると今日も調子がいい。スイスイ歩ける感じだ。気のせいか肩や背中の筋肉も柔らかくなって、肩凝りを感じなくなったような感じがする。でも、腰だけは、相変わらずだるい感じだ。

11月11日(ロルフィング セッション5の10日後)
夜になってから、なぜか右肩だけが急に凝る。久しぶりに痛いほどの肩凝りだ。

11月12日(ロルフィング セッション5の11日後)
寝ている間に左膝が痛みを感じたが、朝には治っていた。夢でも見たのだろうか?昨日の肩凝りも楽になっている。その一方で右足の土踏まず、膝、腰がなんだか重くてだるい感じがする。

11月13日(ロルフィング セッション5の12日後)
朝、膝に違和感を感じるが、歩いているうちに忘れてしまった。夜になると背中が凝ってきた。

※ロルフィング(Rolfing®)は、ロルフ・インスティテュートによって商標登録がされている。